ソーラーシェアリング考案者 長島 彬先生からのご祝辞


2017年11月19日

CHO技術研究所

長島彬

お祝いの言葉として

「ソーラーシェアリングその可能性、その本質」

 本日、体調を崩して皆様に直にお話し出来なくなったことお詫び申し上げます。

 

 ソーラーシェアリングは農家を裕福にして農業が魅力ある職業にするとともに、未来永劫化石燃料や高くて危険な原子力に頼らない社会を築くために考えましたことは皆さん周知のことと思います。

またソーラーシェアリングによって電力供給が巨大資本から私たち市民が主役になることが可能になったことも大きな成果ではないでしょうか。その象徴がここになります。

ソーラーシェアリングの歴史をたどりますと、発案したのが2003年12月、実証試験場の第一歩が千葉県で2010年8月「皆吉」「皆が吉」という市原市の牛久近くの非常に良い地名のところで始まりました。最近の調査によればソーラーシェアリングは全国に早や1,000カ所以上の場所でソーラーシェアリングが実用化されたとのこと。来年はこの千葉県から発したソーラーシェアリングは、城南信用金庫による金融面での絶大な応援を受けて、さらに普及が加速されることを確信しております。

また世界でも多くのソーラーシェアリングの普及が加速度的に進み始めています。日本の1000カ所のソーラーシェアリングの発電規模を概算しますと5から10メガ程度でしょうか。中国ではジンコー1社のカタログ中にさえ、その実施規模は440メガが掲載されています。韓国でもソーラーシェアリングの可能性を大きく評価され始め、拙著の翻訳出版が計画され始めました。南方の発展途上国は太陽光が強すぎるが故に飢えと貧困、略奪の世界で長い間苦しんできましたが、ソーラーシェアリングを実行することによって、強すぎる太陽光を緩和し、潤沢な食料と大きな電力を得て、いよいよ新たな国作りが進むことを確信しています。

 

 自然エネルギーの社会を作ることは非常になかなか難しいことと感じるこの頃です。

 

いよいよ太陽光発電の普及が進み価格が下がっています。しかし、私たち国民が省エネに努力し、自然エネルギーを実用化しても、地球上に戦争やテロがある限り多くの努力が無に帰することになります。例えば平和を守ると称する戦闘機のスクランブル発進があります。戦闘機2機がスクランブル発進すると燃料を2、3トン費消し、数千億円の戦闘機の寿命を縮めます。ある年のデータとして、810回のスクランブルで80億円の国家予算を費消したとの情報もあります。一回1000万円、まさに、軍事、戦車やミサイル、銃器の製造、あるいはテロ対策のおびただしい警護体制、など皆、省エネの対極です。

 

私たちの小さな努力の結晶が軍事衝突によって一瞬にして霧散するおそれです。

「爪で拾って箕でこぼす」という昔からの「ことわざ」があります。

「箕」とは、竹で編んだ農機具の一種で、穀物をふるってごみや殻を除くためのもの。

一つずつ爪の先で拾い集めるようにためたものを、転んだりして箕から全部こぼして一気に台無しにしまうということを表現した教えです。

そうなのです。自然エネルギーの社会はなにより平和を希求してはじめて成り立つことを再認識することが大切なのです。いろいろな軍事衝突やテロ行為に加え、そうならない警戒態勢の拡充さえ、壮大なエネルギーと税金の浪費であることを心して意識することが大切です。世界の平和こそ自然エネルギーによる新しい時代を作る根本であることを忘れてはなりません。

 

健全な農作を目指すソーラーシェアリングはこの匝瑳の仕様のように日照の不均衡や雨だれ被害を最小にして、風荷重を低く抑えるために、最低限、細いパネルが必要に思います。農地を発電用地に使用するため「ソーラーシェアリング」と称した、いわゆる「言い訳としての」ソーラーシェアリングもあります。しかし多くの良識ある国民の眼にふれることによってやがては「淘汰」されていくでしょう。また農水省から近々不適切なソーラーシェアリングが増加しないよう有効な施策を考え新たな施策を発信されることも期待しています。

 

ソーラーシェアリングのパネルやパワコン、蓄電池など主要部品はさらに需要が増えて、量産効果と効果的な設計によって、ますます安くなりつつあります。

ソーラーシェアリングのキロワット単価をざっと近未来で考えますと、近々kW単価はパネルが4万円、パワコンが2万円、架台はアルミにしても4万円が期待される数値になります。主要部品が10万円前後に収まり工事手法の合理化が加わり、全体のシステム価格が16万円程度に収まる日が見えてきました。

25年の耐久性を考えますと単純な発電価格は16万円÷25000kWhでkWhあたり6.4円になります。あらゆる発電方式の中で最も低くなります。さらに電力を蓄える蓄電池の技術が大発展して低価格化が進みます。発電コストと蓄電によるコストを加えても20円以下になるとどのようなことになるのでしょうか。電力供給の仕組みは従来のような電力会社の「営業方針」を超えて、全く新しい仕組みを考え構築することが必要な時期になりました。

 

 ソーラーシェアリングによる自然エネルギー社会の構築にはたくさんの課題がありますが皆様一人一人のご尽力によって確実に進むことが出来ます。日本のソーラーシェアリング技術が世界の模範になるよう皆で頑張りましょう。ありがとうございました。